カツラ入門!かつら(ウィッグ)の基礎知識

間違いだらけのカツラ選び
東京のFM J-WEBに黒髪はえ太が生出演しました。かつらの事について語りました!

カツラの基礎知識

1、カツラ・ウィッグの髪には人毛と人工毛があります。

<人毛の特徴>
人間の毛を購入するのですからかつら・ウィッグ原価は高くなります。
しかし、人工毛でつくったカツラ・ウイッグと比較して絶対的に良い点がいくつかあります。

人毛でつくったカツラ・ウィッグの良い点は

@静電気によるかつら・ウイッグの髪のチジレ がない

Aカツラの見た目が自然・ウィッグの手触りが自然

Bかつら・ウィッグに光にあたっても人工毛のように妙に黒々としていなくて自然

Cカツラ・ウイッグの髪がぬれた時に人工毛は水をはじきます。他人は髪がぺしゃっとなってるのに人工毛のかつら・ウィッグをつけている自分だけが不自然などがない。

○カツラ・ウィッグの製造工程
人工毛と違って人毛でかつら・ウイッグを製作するにはいろんな処理が必要になります。
@カツラ・ウィッグ用の髪を買入→Aカツラ・ウイッグ用髪の処理(キューティクルを剥ぐ)色を染める→B髪のタイプ分け(色・太さ・カール)→Cかつら・ウイッグ用ベースの処理→D職人によるカツラ・ウィッグの手植えという段取りとなります。

★レミーヘアについて
一般のカツラはキューティクルの処理をする為にかつらは毛先と根っこ側とを区別せずに一まとめにして括って束にして在庫しています。
レミーヘアはキューティクルを残したまま使用するので、
@在庫する際も毛先と根っこを注意しないといけないので手間がかかる
Aキューティクルを残したままなので丈夫
B特殊な毛植えの技術が必要
などの特徴があります。
またカツラ・ウィッグ購入後、数ヶ月経つとかつら・ウイッグの髪が赤くなってきますので染めることが必要になります。
カツラ・ウィッグの髪を染めると当然傷みが増すので染める回数が進むとかつら・ウイッグの髪がパサパサした感じになります。カツラ・ウィッグはできるだけプロに染めてもらったほうが良いですね。

<人工毛の特徴
@人工毛のカツラ・ウィッグの髪はすぐに乾いて手入れがしやすいです。しかしかつら・ウィッグに水が掛かっても水をはじくので、そう言う場合には不自然さが残ります。

A人工毛のかつら・ウィッグの髪は時間が経っても赤くなったりはしません。

B静電気によってウィッグ・かつらの髪の毛先がチリチリになってきます。

Cまた手触りの自然さも実際に人口毛のかつら・ウィッグと人毛のカツラ・ウイッグを手にとって比較するとすぐに人毛が自然なのがわかります。

Dカツラ・ウィッグの人工毛は 鐘淵化学工業製の「カネカロン(アクリル繊維)」と電気化学工業株式会社の「トヨカロン(PVC繊維)」が主なものです。しかしこれらは熱に弱い為、サウナに入ったらいけないなど制限があります。(ウィッグの髪形が変形したままサウナ室から出てくると固まる為!)今までは70度前後までしか耐熱性能がなかったのですが(かつらの毛が変形してしまうので、元に自分ではもどせない)現在はタイプがいくつかあり、110度程度まで熱に耐えることができるものがあります。

その他に人工毛のカツラ・ウイッグを作る際は韓国製の耐熱ファイバーを用いることがあります。
これは約150度の熱まで耐えることができますのでウィッグ・かつらをつけていてもサウナに入ることができます。

日本製は耐熱温度が低いですが燃えにくいという良い点もあるため、主流は日本製が多いようです。

人毛は高価で手に入りにくい現状から大手メーカーはなんとか人工毛で自然なものはないか研究を重ねてきています。
人工毛を使用したかつら・ウィッグには、手触りの自然さ・光に当たった際の自然さ・静電気による「チジレ」など課題は多いのです。
もし人工毛で大量に生産できればかつら・ウイッグメーカーの製造原価は人毛に比較して当然下がります。

はえ太の結論としては、人毛を選びます。
髪の静電気による「ちじれ」が解消しないと人工毛は二度とつけるつもりはありません。
カツラ・ウィッグの新品を買って3ヶ月もするとちじれてくるのですから始末に終えないですもん。
それも螺旋でチルチルと直径3ミリくらいの小さいちじれがかつら・ウィッグの前髪部分に沢山できるとどうにも・・・

最近(2006年)ではアデランスが、より人毛に近づいた人工毛というものを発表しています。
パンフレットをみると人毛が3層になっているがアデランスの開発した人工家は2層!人毛と同等ではないが、
今までより、人毛に近づけてより自然さを出したというような記事になっています。
どれくらい本物に近づいたか見てみたいですね。

2、原料の入手先

<人工毛>
かつら・ウィッグの人工毛には幾つかの素材メーカーがあるようです。
カツラ・ウイッグの人工毛の製造元のクラレのHPを見てもカツラ・ウィッグ素材については言及してないようです。
これは、かつら・ウィッグ業界に販売している人工毛の量はクラレにとって微々たる数量だと認識している為だと思われます。その他、上記に記載しましたように鐘淵化学工業・電気化学工業などのメーカーあがります。

アデランスなどの大手はタイに巨大な工場をかかえていますし、
カツラ・ウィッグを大量に販売するには髪の量の確保が大事です。
他人頼みの人毛ではなく安定した供給を受けてかつら・ウィッグを製造できる人工毛の開発を熱心にしていると思われます。

<人毛>
日本人の髪は食事の欧米化やシャンプーの使い方などにより良い髪が無いようです。
その為、主に中国からかつら・ウィッグ用の髪を買い入れてます。
中国は昔から世界のかつら・ウィッグの生産拠点です。


その中でも、中国の青島付近では娘たちが髪を売る風習があります。
娘たちは、髪を丁寧に伸ばし続けます。そして、嫁入りする時に長い髪を切り、
その髪をかつら・ウィッグ用に売るのです。売ったお金で嫁入り道具を用意するのです。
青島は中国の山東省なのですが、地域的には日本の髪質にあった直毛系の髪が手に入る地域です。
そのような文化的な背景もあって、中国ではいまでも健康でまっすぐなかつら・ウィッグに適するバージンヘアーが大量に手に入ります。

ただし、現在は中国でもパーマや毛染めをするようになり、だんだんカツラ用に適するよい髪が手に入りにくくなっているようです。またカツラ(ウィッグ)に使用する毛はかつら・ウイッグのベースに刺すのではなく、髪を2つ折で使う場合がほとんどの為、最低40センチ程度の長さが必要になります。

しかし折り返した片方は10センチ程度にします。
つまり40センチの髪の長さの原料からは30センチと10センチの長さのカツラ・ウィッグができるということなのです。
40センチの髪を売るということは自毛は少しは残さないといけないので、本当に気長な仕事ですね。
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青島が髪を売る習慣があると記載してきましたがこれは日本の地場業者のM社の店長からの話を聞いたものでした。

しかし、現地のカツラ工場の担当者に話を伺ったところ、どうもそういうわけではないようです。
髪の仕入れは特に青島付近が多いというわけではなく中国の田舎の方、各地に平均的に仕入れることをやっているそうです。

既製品のカツラ(ウィッグ)では他の東南アジア諸国から買い入れているものがあるようです。
しかし、日本人の髪質に一番あう髪は、中国の東北地方を中心にした地域で、髪の太さなど一番似ているようです。
タイなどは髪が細いのとカールしているものが多く、すこし違うようです。

いづれにしても大量生産がきかない人毛かつら・ウィッグは次第に高価になっていくことが考えられます。

● アデランスの製造工程が記載された記事

人毛はすべて中国から輸入しています。この人毛は新潟にある同社の工場に送られます。

ここで髪の毛の表面加工が施されますが、この作業は薬剤の調合が非常に微妙になので海外の工場にまかせられないという事情があります。しかしこのキューティクル作業がタイでもできるようになれば100%タイに委託したいということです。

ここで加工された人毛はユーザーのデータ(毛髪の質、毛の流れ)に合わせてミキシング(調合)され、頭の型とともに梱包されタイに送られます。

首都バンコクから北東に車で6時間、そこにアデランスのブリラム工場があります。社員数4500人。これだけの労働力でも月産は6000〜8000個がせいぜいだそうです。植毛の作業だけでも、1個につき7〜10日もかかる為です。

日本で型をとり、毛の流れが描きこまれたゴム製の頭型に、若い女性工員が一本一本髪を植え付けていきます。気の遠くなるような単純作業です。

カツラは中国→日本→タイという「黄金のトライアングル」を巡り巡って、やっと日本の消費者の手元に届くのです。